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イノベーション 2016.02.15

【前編】オバマ大統領やAppleも注目、世界最先端のゲノム医療とは

オバマ大統領やAppleも注目するメイヨークリニックとは?

メイヨークリニックは、医療関係者なら知らない人はいない、アメリカで最も優れた病院の一つだ。最近では、iPhone標準搭載のヘルスケアアプリをApple社と共同開発したことでも広く知られるようになった。

歴史は古く、1846年にアメリカに移住したウィリアム・メイヨー医師と2人の息子の医療活動までさかのぼる。1919年には非営利化され、いまでは、ミネソタ州ロチェスター市の本部と、フロリダ州とアリゾナ州の支部のほか、各地で合わせて70を超える施設や診療所をもつ総合病院だ。

全米の優れた病院ランキングでは毎年トップ3に入り、歴代の大統領や、国内外の要人をはじめ、世界中から難病を抱えた患者さんが毎年130万人以上も訪れている。

医療保険改革をすすめるオバマ大統領も、メイヨークリニックの名前をあげて「アメリカの医療が目指すべきお手本」として褒めたたえたほどだ。

「患者さんのニーズが第一」(The needs of the patient come first の精神のもと、最先端の医療テクノロジーも積極的に取り入れてきた。人工心肺装置の歴史的な手術や、世界初の人工股関節全置換術も、このクリニックで行われた。院長兼CEOのJohn H. Noseworthy氏は「メイヨークリニックはまさに、ヘルスケアの目指すべき姿」と言う。

そんな、世界の医療を代表する医療機関の一つと言えるメイヨークリニックが、いま力を入れている分野の一つが「ゲノム医療」だ。

Sub 1

既存の医療の限界と、ゲノム医療の可能性

病気になった患者さんは、どこの病院でも一つの病気に対して同じような治療を受ける。ところが、病気になる原因や環境はそれぞれ違うため、同様の薬を同じだけ飲んでも、効く人と効かない人がいたり、重い副作用がでる人がいる。誰にでも同じ既製服をあてがう医療には、どこか限界がある。

そこで、ゲノム医療の出番だ。

わたしたちの身体は「DNA という設計図をもとに作られている。DNAの特定の場所を「遺伝子」という。髪や目の色といった見た目から、病気のかかりやすさといったことまで、遺伝子が決めている。「ゲノム」とは、DNAに書き込まれたすべての遺伝情報のことをいう。

ゲノム解析の技術進歩によって、遺伝子レベルの個々人の違いに合わせた医療が提供できるようになりつつある。これが「個別化医療(Indivisualized Medicine と呼ばれる分野だ。

例えば、がん細胞の遺伝子に応じて治療方法を変えるべきという考え方が広がっている。がんは「遺伝子の病気」と呼ばれるが、がん細胞が持つ遺伝子を検査し、どの遺伝子にどんな異常があったかを調べることで、その異常に即したより効果的な治療ができるのだ。

また、希少な病気は症例も少ないため、どのような治療を行えばよいか全くわからないこともある。こうした時に、その人のゲノム情報を調べることで、原因を特定し、治療方法の発見につながるという事例も存在する。

これからはまだまだ研究中のものも多いが、すでに臨床の現場で実践が進む個別化医療の姿である。

Sub 2

遺伝子の違いに合わせて薬を選ぶ

また、薬が効く効かないといった、これまで体質の違いとされてきたものも、遺伝子による違いであることがわかってきた。もし、あらかじめ遺伝子の違いがわかっていれば、副作用が生じにくく、効果も得やすい、そんな治療を受けることができるのではないか。

こうした考えを実現しようとするのが「ファーマコゲノミクス」と呼ばれる分野だ。ヒトの遺伝情報と、薬の効き方や副作用との関係を調べて、患者さん一人ひとりにあった薬の使い分けを見つけるための研究である。

メイヨークリニックではいち早く「個別化医療センター」を立ち上げ、積極的に個別化医療に取り組んでいる。後編では、メイヨークリニックが挑戦する個別化医療を、より具体的な取り組みと合わせて紹介する。

後編「メイヨークリニックのゲノム医療、その実態に迫る」はこちらから

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